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  • >【後編】日本の伝統工芸「江戸切子」!インフルエンサーと世界に一つだけのグラスをつくってみた

インフルエンサーである森 真梨乃さんと、亀戸にある江戸切子スクール「Hanashyo’S」にて江戸切子体験をする企画の後編。

前回の記事はこちら

前回、秘めていた才能が開花した森さんだったがハプニング発生。一体、何が起きたのか。


「すみません。少し削りすぎてしまったみたいで、デザインが変わってしまいました」


「ん・・・?そんなに気にすることじゃありませんよ。全然大丈夫です!」

3本線が並んでいるうちの1本を少し長めに切ってしまったが、正直我々の目から見たら微々たるミスである。しかし、完璧主義の森さんは失敗してしまったことにうなだれる。


「そうですか・・・。でも何だか気になる。同じ線を3本並べてかわいくしようとしてたのに」


「確かに自分の思い描くものとは違っているかもしれません。でも、これもまた味です。3本線のままだと参考にしているサンプルと変わりありませんが、長さが違うことで森さんだけのデザインになりました」


「おお、そう言ってもらえるとなんだか愛着が湧いてきました。ありがとうございます」

失敗も個性として作品の味となるというのは、とてもいい考えである。人が手作業でつくるからこそ生まれるオリジナリティということなのだろう。

何かに吹っ切れた森さんは、その後も黙々と削り続けた。いわゆるゾーンに入った状態である。
話しかけるべきタイミングではないと判断し、ここで店主の熊倉さんにお話を伺うことにした。

自分を見つめ直すきっかけに。江戸切子を始める人たち

店主の熊倉さんは、亀戸生まれ亀戸育ち。生粋の亀戸っ子だ。華硝の三代目で江戸切子の職人として活動するかたわらスクールの講師も担っている。

―――――スクールに通われる方は、どのくらいいらっしゃいますか?


「今、大体100人くらいいますね。遠方から来てくださる方も多くて、西は兵庫、北は秋田から通われている方もいます」

―――――秋田!?それは定期コースで来るということですか?」


「そうですね、月1程度で。お仕事で東京に来たついでに寄られています」

―――――スクールをはじめられたきっかけは何でしょうか?


「お客さんにやってみたいって言われたんです(笑)。10年前から始めました。ちょうど震災の頃で、今はコロナ禍ですが、何とか続けられていますね」

―――――そうだったんですね。新型コロナウイルスよる影響はありましたか?


「ありました!逆に生徒さんが増えたんです。人と繋がりたい、自分を見つめ直したいという人が来るようになりました」

―――――そうなんですね!ちょっと聞きにくい質問ですが、江戸切子づくりを体験中に怪我をされた方はいますか?


「今のところいないです。基本ルールを守っていただければ怪我はしません。ちなみに私自身も怪我をしたことはありません」

―――――結構深く削る作業もあるようですが、危なくないんですか?


「失敗すると指もってかれます」

―――――あっ・・・。ルールを守れってことですね!

ショーケースに並ぶ美しい江戸切子。

―――――最後に、江戸切子の魅力はどんなところにありますか?


「え、難しいな(笑)。ん〜、五感で楽しむものですかね。目で見て楽しんで、耳で音を聴いて、使って味わう。そんな魅力があると思います」

一方その頃、完全にゾーンに入った森さんは黙々と削り続けていた。



「本当にすごいです!今までやったことないとは思えない。上位1%くらいの才能ですよ」


「そこまで!?えっ、転職しようかな」

本当に少年漫画の主人公クラスだ。


「力加減はもちろんなんですが、全然当て違いをしないですよね。初めての方ではなかなかいないです」


「すごい褒められる」

そして、60分の体験コースが終了。森さんは手際がよかったのか、早すぎて若干時間が余るほどだった。
削りの作業は終了したので、あとは下書きを消すだけ。

スチールウールで下書きを消す

ペンで書いた下書きはスチールウールを使用して消していく。
スチールウールでガラスを磨く?とお思いの方は勘が良い。普通のガラスでは傷がついてしまうのだ。しかし、江戸切子に使用されている強固なガラスであれば全く傷がつかない。


「どんどん綺麗になっていきますね。これだけ頑丈なら普通に洗ってもいいんですか?」


「いえ、食洗機は駄目です。あと、溝にほこりが溜まりやすいので、たわしで手洗いすることをおすすめしています」


「そうなんですね〜」


「ただ元々、江戸切子は普段使いしていたものですから。神経質になることはないと思います」

下書きを消し、自分だけの江戸切子が完成!森さんは失敗した箇所があると言っていたが、最早わからない。

江戸切子を通して自分と向き合えた気がした

森さんに今回の感想を伺った。


「最初は伝統工芸ということで敷居が高いイメージがあったのですが、教え方が丁寧で不安がすぐになくなりました」

完成した江戸切子がこちら。

―――――江戸切子をつくってみてどう思いましたか?


「心を無にするというか、その感覚が心地よかったですね。自分と向き合えた気がします。あとは成果物が目に見えるので、達成感がありました!」

―――――一番難しかったところは何ですか?


「底です!力加減が難しくて。雪の形にするのが大変でした」

一番力を入れた底の部分が美しい。

―――――このグラスで一番最初に飲みたいものは何ですか?


「日本酒ですかね〜。旬だし好きだし!」


「あ、そうそう。つくってからすぐにマイグラスを飲み屋に持ち込んで楽しむ人もいます(笑)」


「・・・それすごくいい!」

わざわざ遠方からやってくる人の気持ちがわかる。江戸切子をつくることはもちろん、熊倉さんの人柄や体験内容がとても魅力的であった。

今回、体験したのは60分の体験コース。
Hanashyo’Sではその他にも「中級コース」「インストラクターコース」などレベルアップすることができる。体験コースは不定期だそうで、電話で日程を決めることをおすすめする。また、体験コースのみ日本橋店でも行っているそうで、こちらも合わせて確認しておくといいかもしれない。

つくった江戸切子は紙袋に入れて渡してもらえる。

才能が開花した森さんと、気さくでわかりやすいレクチャーをしてくれた熊倉さん。亀戸の江戸切子づくりを皆さんも体験してみてはいかがだろうか。

スポット紹介

スポット名:Hanashyo’S
住所:〒136-0071 東京都江東区亀戸3-1-9
アクセス:JR亀戸駅 徒歩15分
電話番号:03-5858-9175
受付時間: 10:00~18:00(月曜定休)
※体験は事前にお電話で予約が必要となります。
詳しくはこちらをご覧ください。

Edit by カメイドタートルズ編集部