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  • >【前編】女性編集者の私が亀戸でイケメンとデートした結果…

私は『まゆこ』。つい先日、カメイドタートルズの編集者に抜擢された23歳女性。

今日はたまたま知り合ったイケメンと亀戸駅前の公園で待ち合わせをしているんだけど、彼はもう先に着いているかしら?

 

あ。どうやら先に待ち合わせ場所へ来ていたみたい。

 


「おはよう、まゆこちゃん」

「おはよう」


「亀戸に来るのは初めてなんだよね?」

「うん」

 

この爽やかイケメンの彼は『亀戸勧(かめと すすむ)』くん。亀戸生まれ、亀戸育ちで名前まで『亀戸』のナイスガイ。今日は彼の地元である亀戸の街を案内してくれることになっているの。

 


「雨降りだけど、雨の亀戸も悪くないよ。僕が色々と案内するから、任せて!」

「よろしくね、亀戸くん」

 

(亀戸くん、すごく良い人そう。雨の中、どこに連れていってくれるんだろう?)

 

 

(てゆーか、もしかしてこれって… イケメンと亀戸でデートってこと!? ど、どうしよう。急に緊張してきた)

 

 

イケメンと亀戸デート

(ここは… なんだかフォトジェニックな場所ね)

 


「おーい、まゆこちゃーん。こっちに来てみて!」

 

(ドキッ。子どもみたいに無邪気な笑顔で私を呼ぶ彼の姿に一瞬、キュンとしちゃった)

 


「見て! たくさんの鯉がいるよ!」

 

「本当だ。色んな柄の鯉がたくさんいるね。綺麗」


「この竪川河川敷公園は2.4kmの細長い公園で、首都高速道路7号線の高架下にあるため、少しぐらいの雨なら気にせず外遊びをすることができるんだ。道路が雨よけになるからね」

「そうなんだ。雨でも遊べるのはすごくいいね」

 


「一年中楽しめる水上アスレチックもあるし、キャッチボールとかサッカーができる施設もある。夏の時期はカヌーなんかも体験することができるし、様々なスポーツが楽しめる公園なんだよ」

「親子で遊びに来るのにもいい場所だね」


「そうだね! ところでさ、鯉もいいけど雨ふりで外も寒いし、コーヒーでも飲みに行かない? すごくオススメのカフェがあるんだ」

「うん、カフェ行きたい! 鯉さんたち、またね」

 

 

 

(RoseCafe(ローズカフェ)だって。素敵な外観ね)

 

(内装もなんだかゴージャスで素敵。亀戸くん、いいお店を知っているなぁ)

 

(優しいし、笑顔が素敵だし… こんな人と付き合えたら幸せだろうなぁ…)

 

(って! ちょっと私、なに浮かれてるのよ… まだ出会ったばかりなのに)

 

 


「ローズカフェのコーヒーは自家焙煎。独自の配合で甘み、酸味、苦味の調和を引き出したブレンドコーヒーは珠玉の一杯なのさ。豆にもこだわり続けて開店から30年以上もこの味を守っているんだよ」

「そうなんだ。すごい歴史があるコーヒーなんだね」

 

(そんなこだわりがある店だとは知らなかった。私、アイスフロート頼んじゃったよ)

 


「はい、あーん」

「え!? ちょっと、亀戸くん?」


「はい、あーん」

「いいよ、自分で食べられるから! 人が見てるし、恥ずかしいよ」


「はい、あーん」

「私たちまだ、こういうことするような関係じゃ… もう!」

 

 

パクっ

 

 


「どう? 美味しいでしょう。このアイスにかかっているハチミツは江東区でつくっているんだよ」

「…うん、コーヒーに合うね」


「美味しいでしょう」

「うん」


「ちゃんと美味しいって言って? お店の人に失礼だから」

「あ、ごめん。美味しい」

 

 

 

(あー、ビックリした。亀戸くん、いきなり「あーん」してくるなんて…)

 


「そろそろランチの時間だね。オススメの店があるから行こう」

「あ、うん。亀戸ランチ、楽しみ」

 

 

 

 


「雨で滑るから、階段に気をつけて」

「ありがとう きゃっ…!」

 

 

ガシッ

 

 


「ほら、危ない」

「うん。ごめんね」

 

(一瞬、足を滑らせた私の手をとっさに掴んだ彼の手は温かった)

 


「だから言ったじゃん。雨で滑るから、階段に気をつけてって」

「うん、そうだね。私、注意が足りなくてごめんね」


「せっかく亀戸を好きになって欲しいのに、キミの不注意で怪我をして亀戸に苦い思い出を残されるのはゴメンだよ」

「…うん。気をつけるね」


「そろそろ、今日のランチのお店に着くよ」

 

 

 

(大根料理?  お店の名前、なんて読むんだろう? すごく老舗っぽいお店だけど)

 


「ここが、かの有名な升本(ますもと)だよ」

「あ、升本さんって言うんだ。ありがとう、そんな有名なお店に連れてきてくれて」


「あさり鍋と亀戸大根を使った料理が名物なんだ」

「亀戸大根? 亀戸は大根が採れるの?」


「うん。逆に聞くけど、どうして亀戸で大根が採れないって思ったの?」

「あ、ごめん。そういうわけじゃなくて、都内で野菜の栽培って珍しいなって…」


「亀戸大根のように伝統的に東京23区やその周辺で栽培されてきた野菜のことを江戸野菜って言うんだ。この升本は明治38年創業の老舗店だからね」

「そうなんだ。100年以上も続いているお店の伝統的な料理が食べられるのね」

 

(わぁ、美味しそう。すごく豪華なランチ)

 

(これが亀戸大根を使った料理ね。食べるまでもなく、美味しいオーラを感じるわ)

 

(あさりご飯にあさり鍋。鍋は味噌仕立てのスープでダシがきいていて美味しそう)

 


「あさり鍋の具と汁をこうやってご飯にかけて食べるんだよ。亀戸大根に味が染みてたまらないよ」

「へぇ。具と汁をご飯にかけるのね」

 


「キターーー!!! 最高でしょ?」

「なんだか、とても豪華な“ねこまんま”って感じだね」


「は? 今、なんて言った?」

「あ、ごめん。なにも言ってないよ」


「亀戸の伝統的な味だからね。ほら、早く食べてみて」

「ちょっと待って、私、猫舌だから… 少し冷まさないと食べられないの」


「猫舌? そんなことより早く食べて感想を聞かせてよ」

「うん、わかった。今、食べるから…」

 

フーフーフー。 パクッ ハフハフハフ

 

「…すごく美味しい! 素朴で優しい味」

 


「美味しいのは当たり前だから。そうじゃなくて、ちゃんと美味しさが伝わるようにレビューして」

「…えーと、大根がシャッキリポンと舌の上で踊る感じがする。それぐらい美味しい」


「良い表現じゃん。合格。よし、じゃあ次はデザートを食べに行こうか」

「…わーい。デザート、嬉しいな」

 

 

 


「この船橋屋は創業から200年以上も続く、亀戸を代表する老舗店なんだ。関東圏内に25店舗お店があって、ここは亀戸駅に近い支店なのさ」

「へ〜。くず餅ってはじめて食べるかも」

 

(これがくず餅ね。美味しそう。黒蜜ときな粉の組み合わせは鉄板よね)

 


「はい、あーん」

「…あの、本当に大丈夫だから。1人で食べられるし、きな粉がこぼれてお店に迷惑かかっちゃうよ」


「………」

「ご、ごめんね。気持ちは嬉しいよ」

 

 


「くず餅、美味しいね。濃厚な味わいなのに、あっさりしていて食後のデザートに最高だよ」

「そうだね。餅って名前だけど、軽く食べることができていいね」


「意外と思われるかもしれないけど、船橋屋のくず餅は発酵食品なんだよ。くず餅の材料である小麦粉の澱粉を植物性ラクトバチルスという乳酸菌の働きで発酵させてつくるんだ」

「そうなんだ。乳酸菌って、ヨーグルトとかをつくるやつね」


「植物性ラクトバチルスは善玉菌だ。身体のコンディションを整えたり、健康や美容の維持にも役立つ、素晴らしい菌なのさ」

「くず餅は健康や美容にもいい食べ物なのね。あ、亀戸くん。口にきな粉ついてるよ」


「………口にきな粉ぐらいつくよ。くず餅を食べているんだもん」

「うん、そうだよね。私、拭いてあげるね」


「いや、いいよ。口についたきな粉ぐらい、自分で拭えるから。自分のことぐらい自分でやろうよ、お互い大人なんだし」

「…そうだね。ごめんね」

 

 

 

(優しいようで、なんだか厳しい。というか難しい)

(亀戸くんって… ちょっと変わった人なのかも…)

 


「あ、そうだ。江戸切子って知ってる?」

「江戸切子? なにかしら?」


「よし。実際に見にいこう!」

 

 

 

 

 

(すごい綺麗。江戸切子ってガラス加工品だったのね)

 


「どうだい? この江東区の道の駅でもある亀戸梅屋敷には江戸切子のショールームがあるんだ」

「キラキラしてて、すっごい綺麗! 江戸切子って素敵ね!」


「江戸切子はガラスの表面に細かな彫刻をして、さらにそれを研磨することで繊細で美しいデザインを表現しているんだ。職人芸なんだよ」

「伝統工芸品というわけね」

 


「江戸切子は高級品だけど、鑑賞するだけではなく食器としても使えて人気なんだ」

「これで日本酒とか飲めたら最高ね」


「お酒、好きなの?」

「うん、そんなに強くないけど嫌いじゃないよ」


「…いっちゃう?」

「え?」


「…お酒、いっちゃう?」

「え? う、うん。行ってみようかな」

 

 

(ここは…?)

 

(カフェ?)

 

(でも、お酒もたくさん置いてある)

 


「この店は珈琲道場 侍。コーヒーとお酒が楽しめる店で、午前1時までOPENしているんだよ」

「コーヒー道場? なんだか面白い店ね。兜とか甲冑が飾ってあるのは侍という名前にちなんでいるのね」


「夜、お酒の時間帯になると雰囲気が変わって大人のBarになるんだ。でも、Barになっても変わらずコーヒーが注文できるので地元の僕たちからは重宝されているよ。珈琲道場の名に恥じない、抜群にうまいコーヒーが飲めるしね」

「へ〜。素敵ね」

 


「そして、この店はコーヒーを出す時のカップにもすごくこだわっているんだ。来店した客の雰囲気を見て、その客にピッタリ合うように店員がカップを選ぶんだよ。一つ一つのカップがすごくオシャレで、それも楽しみのうちなのさ」

「そうなんだ〜」

 

(そんなこだわりがある店だとは知らなかった。私、バナナジュース頼んじゃったよ)

 


「このカウンターの席は椅子がロッキングチェアになっていて、すごくリラックスできるんだ。読書をするのもよし、スマホゲームに興じるのもよし。コーヒーやお酒を飲みながら自分の世界にどっぷりと入ることができるんだよね」

「…そっかぁ。 すごく… リラックス…」

 

 

 

(…あれ?)

 

 

 

(なんだか目がかすんで… どうしたんだろう… 急に…)

 

 

 

(亀戸くん…)

 

 

 

(……………。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……………え!?)

 

 

 


「おはよう、まゆこちゃん」

「亀戸くん!?」


「亀戸に来るのは初めてなんだよね?」

(え? なにこれ?)

 


「今日は雨降りだけど、雨の亀戸も悪くないよ。僕が色々と案内するから、任せて!」

「いや、あの、さっきまで私たち、珈琲道場に」


「あ、珈琲道場 侍に行きたいの? 有名なお店だもんね」

「いや、そうじゃなくて! バナナジュース飲んでたら急に目の前が暗くなって…」


「珈琲道場にはまたあとで行こうね」

(どういうこと?)

 

(一体、なにがどうなってるの?)

 

次回予告

少し変わったイケメン、亀戸勧(かめと すすむ)の言動に戸惑いながらも、レトロな亀戸の魅力を堪能したまゆこ。

しかし、突如として訪れた謎のタイムリープ現象によって時間は巻き戻り、また1日が繰り返されることに…

まゆこはこのループから抜け出すことはできるのか?

 

後編へ続く

 

スポット紹介

スポット名:竪川河川敷公園

住所:〒136-0071 東京都江東区亀戸6丁目33-10
電話番号:03-5875-2319
アクセス:JR総武線「亀戸」駅 徒歩10分
営業時間:6:00~22:00

スポット名:RoseCafe

住所:〒136-0071 東京都江東区亀戸1丁目32−7
電話番号:03-3636-0101
アクセス:JR総武線「亀戸」駅 徒歩5分
営業時間:平日7:00〜23:00、土8:00〜18:00、日9:00〜18:00

スポット名:亀戸升本 本店

住所:〒136-0071 東京都江東区亀戸4丁目18−9
電話番号:03-3637-1533
アクセス:JR総武線「亀戸」駅 徒歩10分
営業時間:平日11:30~14:30、17:00〜21:00 土日10:30〜14:30、17:00〜21:00

スポット名:船橋屋 亀戸支店

住所:〒136-0071 東京都江東区亀戸6丁目26−3
電話番号:03-3637-2784
アクセス:JR総武線「亀戸」駅 徒歩5分
営業時間:9:00~18:00 お召上がり:11:30~15:30(L.O)

スポット名:亀戸梅屋敷(江戸切子ショールーム)

住所:〒136-0071 東京都江東区亀戸4丁目18−8
電話番号:03-6802-9550
アクセス:JR総武線「亀戸」駅 徒歩10分
営業時間:10:00~18:00
定休日:月曜日

スポット名:珈琲道場 侍

住所:〒136-0071 東京都江東区亀戸6丁目-57-22 サンポービル2F
電話番号:03-3638-4003
アクセス:JR総武線「亀戸」駅 徒歩1分
営業時間:8:00~25:00
定休日:日曜日

Edit by カメイドタートルズ編集部