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  • >商店や飲食店の「3密対策」は? 緊急事態宣言解除後の亀戸駅周辺を歩いてみた

緊急事態宣言が解除となり、亀戸の町にも活気が戻ってきた。しかし、元通りの姿に戻ったかといえばそうともいえない。むしろ「新しい生活様式」の下において「戻る」という言葉自体がふさわしくないのかもしれない。

我々カメイドタートルズもしばらく巣篭もり状態を強いられていたが、久しぶりに町へ飛び出し、新しい変化を探しながら週末の亀戸駅周辺をあてもなく歩いてみた。

亀戸にも「日常」が戻りつつあるが…

ブルーインパルスが優美な軌道を描いたあの日と同じように、亀戸の空は抜けるような晴天だ。

2か月近く止まっていた時計が再び動き始めた。賑わいを取り戻した亀戸駅前の町並みを見るとそんな言葉が思い浮かんだ。ただ、以前までの風景とは明らかに違う。もう夏を迎えようというのに、行き交う人々のほとんどがマスク姿だからか。

北口駅前にあるファストフード店のカウンターには店員と客とを隔てる透明の幕が張られ、亀戸十三間通商店街の入り口には「当面の間、日曜・休日の歩行者用道路は中止」と書かれた看板が立っている。さらには未だ臨時休業のまま、シャッターが閉まった店もある。本当の「普通」が帰ってくるまでは、まだだいぶ時間がかかりそうである。

※本記事の取材は東京都の緊急事態宣言解除後に行いました。また、周囲との距離、滞在時間など十分に配慮して取材を行っています。

すれ違う人の顔がはっきり見えない状況では、知り合いにばったり会ったとしても、気付かずに通り過ぎてしまうかもしれない。きっと、何も知らない1年前の自分がこの町に放り込まれたら、それこそ今流行りの「異世界」に迷い込んだかのようにすら感じることだろう。何だか人間関係が希薄になっていくかのようで一抹の寂しさを覚える。

商店街では様々な「3密対策」が行われている

亀戸の商店街には小さな個人商店がたくさんある。もはや改めて言うまでもないが、昭和の香りを残す商店街の元気さと、どこに行くにも便利な交通の至便さが亀戸の町の魅力である。ただ、感染防止の標準として定着した「3密」は、コンパクトな店内かつ対面売りが中心の個人商店にとって高いハードル。どこも営業再開において感染防止の対策に迫られている。

十三間通商店街を途中で曲がり、亀戸中央通商店街に出た。

電線が無数に張り巡らされた風景と、人と自転車が行き交う雑踏は相変わらずだ。そしてホルモンの香りに誘われながら、本来の目的をグッと噛み締めて通りを歩いていくと、洋菓子でおなじみの「モンレーヴ」の前に立った。

店頭には「2組までの入店制限」を示す張り紙。ケーキが並ぶ什器の上には全面に飛沫防止の幕が張られていて対策は万全だ。写真を撮らせてもらいながら店員の方に話を聞くと、緊急事態宣言前の状態に客足は戻ってきているという。この時も若い男女が記念日用のケーキの注文に来ていた。

モンレーヴといえばキャラクターケーキが有名だ。過去作の写真の中には、カメイダーのケーキも並ぶ。カメイドタートルズが1周年を迎えた時には、タートルズロゴのケーキも“あり”だなとふと思う。 我々が伺ったのは本当にわずかな時間だが、「また寄ってちょうだいね!」という店主の笑顔に元気をもらった。

続いて、近くの「八百関商店」へ。ここでは「マスク着用していない方は入店禁止」の張り紙。かなりの徹底をしているが、お客さんが売り物に直接触れる商売ゆえに、安心と安全の確保に一層敏感なのは当然のことだろう。いつもの威勢の良さは“自粛中”だが、いいものが安く手に入る、頼りになるお店であることは常日頃と変わらない。

ほかにも、ほぼすべての店がマスクをつけて接客しているのはもちろんのこと、レジ周辺を幕で仕切る飲食店や客席の間をパーテーションで仕切っている美容室など、各店ごと地道な取り組みが行われていた。

亀戸の町も復活に向けて一歩ずつ進んでいる

夕暮れ過ぎて賑わいを見せるのは、呑ん兵衛が集まる亀戸横丁界隈だ。ここに集まる店もできるかぎりの対応で安心・安全の確保に取り組んでいる。机の中間に仕切りを設ける立ち飲み屋、店じゅうに幕を張って飛沫の防止に努める居酒屋、ソーシャルディスタンスを考えて店内のレイアウトを工夫するその他の飲食店…、亀戸を代表する「亀戸餃子」でも「列の感覚を開けてお並びください」と行列客に呼びかけていた。

「梅田屋」の店頭には、適度な距離を保ちながら酒席を囲む三人組の姿があった。そのうち一人の方から「カメイドタートルズ、知ってるよ!」という声。こんな風に呑ん兵衛たちに絡まれるのも、ここ数ヶ月なかった“当たり前の日常”が帰ってきつつある証だろう。

本当ならこんなに接触を避けて暮らす世の中がいいとは誰もが思わないはず。ただ、今は多くの人が終わりの見えない闘いに身を置き、いつか元通りの暮らしが戻るだろうという期待とニューノーマルな生活との狭間でジレンマを抱えながら様々な試みに取り組んでいる。亀戸の町も復活に向けて着実に一歩ずつ前進している。この記事を通じて、亀戸の方々のがんばる様子が一人でも多くの人に伝わったら嬉しい。

※本記事の取材は東京都の緊急事態宣言解除後に行いました。また、周囲との距離、滞在時間など十分に配慮して取材しています。

Edit by カメイドタートルズ編集部